【Gサポート日記】「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」答申
厚生労働省から労働政策審議会に諮問されていた「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について、平成29年9月15日に答申が行われました。厚生労働省はこの答申を踏まえて法律案を作成していくこととなります。
法律が予定通り成立すれば、その多くは平成31年4月1日に施行されます。就業規則等の見直しにはまだ時間的な余裕もありますが、現場の整備には時間がかかる場合もあります。法改正の内容の早めの理解が必要となりそうです。
【法律案要綱の主なポイント】
1.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(1) 労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
●時間外労働の上限:月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。
●割増賃金:月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止。
●有給休暇:使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならない。
●企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加、高度プロフェッショナル制度の創設。
(2) 勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
●事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない。
(3) 産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
●事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
2 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(1) 不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
●短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして、適切と認められる事情を考慮して、判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。
●派遣労働者について、
(a)派遣先の労働者との均等・均衡待遇
(b)一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。
(2) 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
●短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
(今村 唯)